◆今の日本の読解力~日本代表・男子バスケット選手の不祥事から見えること

国語教育研究家の田添マチ子です。

阪神甲子園駅、JR難波駅、阪急三宮駅近くで

国語の長文読解教室を主催しています。

スポーツ界の不祥事が相次いでいますが

男子バスケット日本代表選手が派遣先で買春して謝罪というものもありました。

このニュースを見て思ったことがあったので書いておきます。

問題の4選手は事情聴取に対して反省した様子だと報じられていますが…

反省の真似なら子どもでも誰でもできるので。

山下団長は公式ウエアを着たうえでの深夜の外出、買春の疑いのすべてが行動規範に反するとの認識を示したうえで、「一番大きな問題は買春」と述べていました。

その行動規範ですが、

JOCの行動規範

アジア大会への派遣は国費で賄われる。国民の期待に応えるためには、競技での活躍だけでなく、競技を離れた場でも社会の模範となる行動を心がける

確かにここには

買春しちゃいけないとは書いていない。

でも普通の読解力があれば買春のような行為も当然含まれていると思うわけです。

そもそも4人が目を通していなかった可能性もありますが。

でも最近増えていますよねえ。

「だってここには〇〇〇しちゃいけないって書いてないじゃない!」

と言って自分の問題行動を棚上げして逆切れする人や子ども。そして政治家(笑)

「そんなの言わなくても分かるでしょ…?」と内心思うのですが

確かに書いていない。

このような人たちのために

いちいち、これしちゃいけない、あれしちゃいけないと明示してあげないといけないのかと

学校やお店はため息をつくわけです。

だって禁止行為なんて無数にあるのですから

それを一つ一つ書き上げたところで終わりは見えない。

それにそういう駄々をこねる人はそんな大量の禁止事項に目を通さない。

昔はそんなこと必要なかったはず。

言葉一つでその背後にあるものを想像して理解できた。

クレーマーみたいな人たちが増えているのは

読解力がない人が増えているということも一因ではないでしょうか。

単語でのやり取りが当たり前のSNSのやり取りが普通になったことも大きいでしょう。

相手の真意を読み取ろうとしない

表面しか読めない読み方しかできない人が爆発的に増えました。

それはつまり読解力、理解力のない人が増えたということ。

読解とは筆者の真意を読み取ることですから。

最近の国会が言葉遊びになっているのも見ていて恥ずかしいですが、

あのようなことを恥ずかしげもなく言うのは

自分は書いてあることが読めないので、

ひとつひとつかみ砕いて例を挙げて説明してくださいと言っているようなもの。

まあワザとの人もいるでしょうけれど。

卑怯です。大人がすることではない。子どもに見せちゃいけない。

最近のモンスタークレーマーや政治家の言い分見ていると

読解力のなさをひけらかしているようなもんだよな~と。

読解力がないと本当に大変。

教養ない、理解力がない、周りと理解し合えない。

お母さん方は

言葉を子どもにたくさん授けてあげて欲しい。

使える言葉があるということは

自分の想いを表現し、誰かと共有できるということ。

それは誰かと繋がれるということ。

他にも良いことがいっぱいあります。

事実上の選手団追放となった4選手は東京都内で会見し、「認識が甘かった」「本当に申し訳ない」などと謝罪しました。

バレなかったら何事もなかったかのように試合に出ていたのでしょう。

このような騒ぎになってから「ヤバかったのかな?」と気が付いたのでしょう。

日本代表という自分が置かれた立場を顧みることすらできなかったのは考える力の欠如に他なりません。

男子バスケットはまだまだ苦しい時期が続きそうです。

しかし今回の“容赦ない晒し刑”にはある意味愛情を感じたのは私だけでしょうか。

厳しさと優しさの区別も付けられない、

ダメなものはダメと言えない大人が多い中、

選手と一緒に頭を下げる三屋会長には“親心”が見えた気がしました。

自分に甘いどこかの“会長”とは全然違います。

いろんな“会長”がいるもんですね。

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